伝運慶作・舞楽面

f:id:murakami_tsutomu:20220208073800j:plain

2022年 21cm×15cm 紙、ダーマトグラフ

 神奈川県の瀬戸神社に、北条政子が暗殺された息子・源実朝供養のため奉納したと伝えられる、舞楽面があります。この抜頭(ばとう)面の裏には、夢想により運慶が彫り上げたという朱漆銘が残されているそうです。いつも公開されている訳ではなく、私も実物は前に金沢文庫でちらっと観たきりですが、今度、中学校の演劇部でこの面をモチーフにした芝居をやろうと思い立ったのを機に、写真を見ながら描いてみました。

 ダーマトグラフというのは、紙巻の色鉛筆で、軸を糸で裂き、手で剥いて芯を出せるあれです。リトグラフにも使える手軽な描画材で、ダーマト(=皮膚…つまり何にでも)グラフ(=書ける)という意味らしく、元々は手術でメスを入れる所に印を付けるために作られたそうです。鉛筆削りは要らないし、描く紙も選ばないので、鞄の中に一本あるとなかなか重宝します。鉛筆と言ってしまえば鉛筆なのですが、絵肌がちょっと違うので、一応区別しておきました。