山間(やまあい)の棚田

f:id:murakami_tsutomu:20211003145048j:plain

2021年 33cmx25cm 紙、鉛筆、水彩

 上越からの帰り。山間の道を十日町の方に抜ける途中、谷側の少しひらけた所に小さな棚田が見えました。車を停めてみると、黄金色の田んぼが秋の空に映えています。風も心地よいこの日、一家総出でちょうど稲刈りの真っ最中でした。時々、束ねた稲を運ぶ子供の声が聞こえてきます。手ぬぐいで頰被りした大人はそれぞれ鎌を持ち、昔ながらの手刈りです。これだけ手間をかけているのだから、刈った稲はきっと上越名物の稲架木(はさぎ)で天日干しにするのでしょう。

 棚田を見降ろす国道沿いの杉の木が丁度良いフレームになって、変わらない日本の風景を切り取っています。遠景から近景まで、面白い構図だったので、道端に座ってそのまま描いてみました。向こうの林や丘の上を雲の影がゆっくりと動いていきました。