南葉山と難波山

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2021年 16cmx22.5cm 紙、鉛筆、水彩

 上越にいた頃はあまりにも当たり前で、描く気にもならなかった風景ですが、しばらくぶりで行くと、懐かしさについ筆を取ってしまいます。新幹線の上越妙高駅前に釜蓋遺跡公園という、何もない広場ができていました。そこからずっと続く休耕田を隔てて、南葉山がよく見えました。公園の案内板によると、南葉山には山頂が三つあり、左側の峰と右側の峰では、「なんばさん」の漢字表記も違うのだそうです。住んでいた時はそんなことすら知りませんでした。

 二十何年か前の春先、一度だけ麓のキャンプ場からひとりで登ってみたことがあります。良い天気なのに誰もいないなと思いながら歩いていましたが、それもそのはず、途中から山頂付近はまだ深々とした残雪に覆われていました。でも、せっかくここまで来たし…乗りかけた船とばかりに、サンダルのまま雪の中を突き進んでいきました。身体は汗で熱っているのに、足は痺れる程冷たいという、滅茶苦茶なハイキングでした。足が冷た過ぎて、でも、あの頃はまだ体力にも自信があったので、頂上からほとんど走る様に降りてきましたが、一つ間違えば遭難でした。

 今、60近くなっても、相変わらずちょくちょく無茶をします。「何とかなるだろう。」というナメた態度と軽率さはそう簡単に治りません。それにしても、あの時登った山頂は3つのうちのどこだったのでしょう?いつか確かめに行きたいと思います。