木彫栓抜き


2018年 高20cm(木材部分15cmx3.5cmx3.5cm)桂材、蜜蝋、栓抜き金具
中学1年生に木彫の基礎を教えるのに、私は小さな桂材の丸彫りから入ります。小刀を安全に使って立体を削り出していく作業の中で、木目や肌理といった木特有の性質や刃物の扱いを学んでいくことは大事だと思います。展示しても地味であまり見栄えはしませんが、実用性のあるものを作ることで興味を繋ぎながら、生徒たちには抽象彫刻として取り組ませる様にしています。デザインを決める時にはブランクーシの作品なども紹介し、立体的に考えながら小刀を入れていきます。なるべくヤスリに頼らず、刃物の味を生かして仕上げたら、蜜蝋ワックスで艶を出し、金具を差し込んで完成です。
上の私の作品は、女性のトルソー的なイメージで作ってみました。金属や大理石の様に磨き上げてしまえば何て事のないデザインですが、ヤスリを使わず彫り跡を残してみると、ちょっと有機的で面白い形になります。

ブランクーシのアトリエの写真には、鑿(ノミ)跡が残った抽象彫刻が林立していますが、それらは決して無機的でなく、血の通った温かみすら感じさせます。その中の一つの「無限柱」も縮小して、栓抜きにさせてもらいました。